一枚の便箋に、私の想いを綴る。インクの香りが、少し懐かしい。
窓の外には、夕焼けが広がり、空は茜色に染まっている。
「ねえ、あのね…」そう書き出し、何度も消しゴムで字を消した。
なんて言ったらいいんだろう。
私の気持ちなんて、ちっぽけなものかもしれない。
でも、この気持ちを伝えずに、この秋を過ごすのは、私にはできなかった。
便箋をめくりながら、あなたのことを思い出している。
一緒に食べた美味しいケーキの味、一緒に見た映画のシーン、
あなたが笑った時の可愛いしぐさ。
たくさんの思い出が、私の心を満たしていく。
この手紙が届いた後、私たちの関係はどうなるだろう。
少し怖いけれど、今はただ、この気持ちを伝えたい。
そう願っている。
夜空には、満月が輝いている。
月明かりに照らされながら、私はこの手紙を封筒にしまう。
そして、そっとポストに投函した。