宇宙の大部分は、何もない場所でできている。
星と星の間には、途方もない距離がある。光でさえ何年もかけて渡る暗闇を、私たちは空白と呼ぶ。
しかし、空白とは何だろう。
音楽は、音だけでは成立しない。音と音のあいだに沈黙があるからこそ、旋律は生まれる。
文章もまた、文字のない余白によって意味を持つ。
ならば宇宙の暗闇も、星々を隔てるためではなく、それぞれの光を存在させるためにあるのかもしれない。
人間は、空白を恐れる。
予定のない休日。会話の途切れた食卓。何者にもなれなかったと感じる年月。
私たちはそこに意味を詰め込み、成果を並べ、沈黙を言葉で埋めようとする。
けれど、存在の価値は密度によって決まるのだろうか。
夜空を見上げる。
無数の星が輝いている。
その美しさは、星の数だけでは説明できない。
星々のあいだに広がる、測り知れない暗闇。
それがなければ、光は輪郭を持たない。
人生にも、何も起こらなかった季節がある。
振り返れば、記憶さえ曖昧な日々。
しかし、その沈黙の中でしか育たなかったものが、きっとある。
宇宙は空白を急いで埋めようとはしない。
百億年を超える歳月を経てもなお、暗闇を抱いたまま、美しい。


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